「づしの森」の日々

2003年9月28日
 昨日の夜、なんてことなしに「づしの森」の掲示板の過去ログなんか読んでた。いまこのテキストを読んでる方はだいたいご存じかとは思うが「づしの森」ってのは、以前俺が同居人の箭沢という人と共同で運営していた、萌えの彼岸を目指しながら愉快に遊ぶサイトだった。幸いにも俺の書いたテキストや、箭沢とやった「対談」なるコンテンツに共感してくれた方も多く、そしてなにより掲示板に集ってくれたメンツのあまりの強力さに、掲示板がウリであるような状態になってしまった。そんで、それがなにより嬉しかった。
 俺があのサイトをやったことを通じて、なによりの収穫で、なによりの誇りと思えるのは、やはり掲示板の存在だと思う。

 俺は心のどこかで「づしの森」を過去にしたがっていた部分があった。理由は明白で、あのサイトには、フィクションとしか向き合ってこなかった俺の姿があるからだ。人間の精神というのはずいぶんと不自由なものらしく、完全にフィクションに埋没したような精神状態では、現実の生活をこなすのは難しい。「はーい、いまからはフィクションの時間でーす。現実のことはきれいさっぱり忘れて、ひたすら萌え狂いましょー」とはいかない。現実の視点や人間観を持ったままでは、俺が知っているような「息苦しいまでのせつなさ」は訪れない。それは現実から逃げているときにしか、しかもそのことに自覚的であるようなときにしかやってこない。心が醒めていてはいけない。熱狂的にフィクションを求めなければ、フィクションはなにももたらさない。
 そんなわけで、現実を選んだ俺は、必然的に「あのころの自分」そのものである「づしの森」というサイトを忘れる以外に手がなかった。

 なんでまた、そんなこと思ってた俺が、わざわざ過去ログなんか読んでしまったのか。よくわかんねーんだけど、たぶん54たんに狂ってたりとか「よつばと」読んで、自分のなかに燻っていたフィクションへの渇望が再燃したりとか、そんな理由で、要するに魔が差したんだと思う。

 そんで、ひさしぶりに読む掲示板は。
 なんか、泣きたくなるくらい懐かしかった。とかまじめに書いてる端から54たんが「えっちなこと、したくなったら……わたし、に、いってくださいね……」とかゆって俺のなけなしの理性をどこかに運び去ろうとします。なにをしてくれるというのだ54たん!! えっちなことで頭がいっぱいになってしまった俺に、54たんがなにをしてくれるというのだゆってみなさい54たん!!
 「そ、そんなこと……、い、いえません…」
 ああっ。なんか聞こえてきた54たんの声だ。ついに聞こえるようになったよ54たんの声。新たな地平の始まりであり、致命的ななにかの終わりですね……。

 なんて書いてると、また無限に54たんと見つめ合うだけのテキストになってしまうので、54たんにはおうちに帰ってもらおうと思ったのですが俺にはそんなことはできません。速射砲のように媚びないでー。えぅー。

 で、掲示板が懐かしかったって…、話、ですよ、ね…(ぜんぜん抜け切れてない)。
 もうさっきと気分が違うのでなにを書こうとしていたのか思い出せないくらいです。強烈なノスタルジーのようなものに襲われて「ああ、俺は結局、自分の内部にあるものをどこかに押し込んでないことにしていただけだなあ。俺はあのサイトをやっていたとき本当に楽しかったなああの空間が大好きだった。かなうものならまたあの空間に行きたい。あの時間を再現したい」とか思ってたんですけど。てゆうかそれだけなんですけど、ふだんだったらもっと回りくどい書きかたするんですけど。
 実際俺はIRCに参加するようになってからほとんど入り浸りなんですけど、それは「マニア話をする人間が周囲にいない」という事情もさることながら、やはりかつて自分が経験した「楽しい時間」の再現を願っているのかもしれない。

 まあいいや。
 しかし33歳にもなってよく俺、こうやって無駄なこと考えてしかもそれをテキストにする気になるな、いちいち。趣味だからいいんですけど。


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